It's all in your head by Suzanne O'Sullivan

多分、医療従事者なら誰でも、検査結果で説明できないような症状を訴える患者さんに出会ったことがあるでしょう。

腹痛、胸痛や倦怠感は頻繁に遭遇すると思いますが、中にはもっとドラマチックな症状 -痙攣など - を起こす人もいます。

この本は、イギリスの神経内科医である著者が、自分の遭遇したpsychosomaticな病状(心因性で身体症状が出る病状)の患者さんを診断したプロセスと、患者さんとその家族にどのように診断に関して説明して、サポートしたかを中心に、歴史的な事などを織り込んで書かれています。

特に新しい事実などが書かれている訳ではありませんが、日常的にpsychosomaticな症状を訴える人たちに遭遇するGPとしては、特に、どのように患者さんと家族に診断を説明してサポートしていくか、がとても参考になりました。

本の書評サイトGoodreadsを見ると少数ですが、とても批判的なレビューを書いている人もいます。

多分ご自分、またはご家族がこの本で取り上げられたような症状で辛い思いをしていて”It's all in your head"というタイトルに反応したのかな、と私は思います。

"It's all in your head"というタイトルは、文字通り短絡的に解釈すると『問題があるのは精神で、身体的には問題ないのに色々な症状を(頭で作り出して)訴えている』という、なんとなく患者さんが嘘つきのような、ネガティブな意味で取られかねないと思います。

実際の著者の意図としては、この『頭で感じて、考えて』という機能が、ドラマチックな身体症状を引き起こしうるという、そういう感じであったのではないかな、と思います。

psuchosomaticな病気に興味がある方、またはそのような患者さんを診る医療従事者の方はぜひ読んでみてください。


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