今回はそれぞれの持ち込みや日本からの郵送についての注意点と、持ち込まない場合に、どのようにそれらをニュージーランドで入手できるかを説明します。
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処方箋薬の持ち込み
日本の医者から処方された薬はほとんど問題なく持ち込めます。
ただ幾つか決まりがあるので説明しておきます。
1. ご自分で自分が使う薬を持ち込んだり、ご家族が使う薬を持ち込むのは許可されています。通常は3ヶ月分まで(経口避妊剤の場合は6ヶ月分まで)です。
モルヒネなどの薬はこちらではControlled drugと呼ばれ、1ヶ月分までしか持ち込めません。
家族以外の人のための薬の持ち込みや、他人に売るために薬を持ち込むことはできません。
基本的には、ニュージーランド入国時の申告書に記入して、税関で申告してください。(ただmedsafeのウェブサイトを読むと、3ヶ月までなら、また経口避妊薬は6ヶ月までなら、申告する必要が無いようです。この期間を超えた分の薬を持ち込むときは申告してください。)
この申告書と共に用意しておくのは、
1. 英語で書かれた、日本の医師からの処方箋のコピーか手紙(家族のためのものであれば、その旨、誰用の薬で誰がニュージーランドに持ち込むかが書いてあるもの)
下に手紙のテンプレートを置いておきますので、コピペして印刷し、日本の医師に患者さんの名前、持ち込むする人の名前(ご家族の分を持ち込む場合)、薬の名前、用法を英語で書いてもらい、最後に医者のサインとハンコをもらってください。
手紙のテンプレートは自分が薬を持ち込む際のものと、家族の薬を持ち込む際のものの2バージョンがあります。
それぞれに同じ内容のものが2つ、1つの書類に入っています。
前半の分にどこに誰の名前を書くなど記載しておきますから、前半と後半とをそれぞれコピペして1ページずつに印刷し、後半の分に実際に医師に書き込んでもらってください。
薬の数は5種類になっていますが、適宜変更してください。
*自分で薬を持ち込む時の手紙
*家族に頼んで薬を持ってきてもらう時の手紙
(もちろんその医師がすでに手紙のテンプレートを用意してあったり、英語の手紙を書くのに慣れていらっしゃるなら、私のテンプレートを使う必要はないです。
そのクリニックの名前や住所が印刷してある紙に、手紙を印刷してもらえれば一番良いと思います。)
そして、この手紙を持ち込む薬と一緒に持ってきてください。
2. 薬が処方された時の入れ物で、薬の正式名称、用量など処方箋にある情報が書いてあるもの
箱に入って処方されていたら、その箱ごと持ってきてください。(日本語で名前など書いてあるでしょうけれど、わざわざ英語で書き直す必要はないと思います。というか手書きであると却って”怪しい”でしょう。)
法的な決まりとして、処方薬は3ヶ月分まで(経口避妊剤の場合は6ヶ月分まで、Controlled drugは1ヶ月まで)しか持ち込めないので、もしもそれ以上の分を持ち込もうとした場合は、書類など揃っていても税関で没収される可能性を覚悟しておいてください。
ただ、税関でどの人に当たるかによって、余り詳しく訊かれる事なく持ち込める事もあれば、いろいろと訊かれて没収され、こちらのGPに手紙を書いてもらって返してもらう手続きを取らないといけない事もあるようです。
先ほどControl drugについて触れましたが、こちらではcontrol drugとなっていても日本では麻薬に指定されていないものがあります。
例えば、Pseudoephedrine (日本ではプソイドエフェドリンと呼ばれているようですが、実際の英語の読み方はスードエフェドリンという感じです)は、日本で普通に処方されている抗アレルギー剤や風邪薬(ディ○グラとかベン○ブ○ックとか)に含まれていますが、ニュージーランドではcontrol drug になっていますから注意が必要です。
他にも、漢方の薬は成分がわかりにくいものがあるので、気をつけてください。
先に述べたように、英語で書かれた医師からの処方箋や手紙があればcontrol drugでも1ヶ月分は持ち込み可能なので、調べてもわからないけれど、どうしても必要なものは手紙を持参でとりあえず1ヶ月分に限って持ち込み。
後はこちらのGPと相談するというのも一案です。
医薬品の持ち込みの詳細については、厚生省 (external link)のメッドセーフ (external link)のウェブサイト(英語)を参照するか、同省へメール又は電話(+64-9-580-9141)で問い合わせてください。
最終的に、ご自分で調べても持ち込めるかどうかよくわからない時は、このウェブサイトのお問い合わせフォームから私に質問していただければ、私で調べれる範囲でお手伝いできると思います。(確実にお約束は出来ませんが)
*2020年2月追記
このウェブサイトに薬の持ち込みについて質問を送ってくださった方がいらっしゃいました。
その方は、比較的稀な疾患を持っており、内服していらっしゃる薬の中には免疫機能を抑制する薬も入っていました。
ニュージーランドにも同じ薬はあるのですが、薬を作っている会社は違うため同じ容量でも、効果に違いが出る可能性があります。
疾患のコントロールを考えると、日本からの薬剤を飲み続ける方が安全であろうと思われました。
結局この方はmedsafeにメールを書き、上記の懸念を述べたところ、例外的に1年分の薬の持ち込みを許可された、ということでした。
この『例外的処置』を受けられるのは、どのくらい特殊な状況でないといけないかは明確ではありません。多分、高血圧や通風などの薬では『例外的処置』は取ってもらえないと思います。
可能性が考えられるのは、免疫抑制剤、精神科の特殊な薬、経口抗がん剤などでしょうか。
もしもご自分がこれに当てはまると思われる方は、medsafeにメールを書くか、私にメールでご相談ください。
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日本から処方箋薬を送ってもらう事はできるか
基本的には、日本の医師に処方された薬を、日本のご家族に送ってもらう事はできません。
例えば、どうしてもニュージーランドにはない薬で、ご自分の病気のために日本から送ってもらわないといけない場合は、ニュージーランドの医師に、ニュージーランドでは手に入らない薬で他に代替薬がない事を書面で書いてもらって、ご自分で税関にあらかじめこの書類を提出すれば、3ヶ月分までは送ってもらえます。
ご自分で持ち込む場合とは異なり、日本の医師の英語の手紙があっても、通用しません。
オンラインで処方箋薬を買って送ってもらうことはできるか
上記の場合と同じで、ニュージーランドの医師があなたがその薬を輸入する必要を説明した書類を書いてくれれば、3ヶ月分までは可能です。
私の患者さんで、まだバイアグラのパテントが切れる前(2011年にパテントが切れてジェネリックが出回り始めました。ジェネリックでも1錠$10くらいなので、高いですよね)、アメリカからオンラインでバイアグラを輸入しようとした人がいました。
ニュージーランドの税関で引っかかり、そのまま没収されるか、GPに書類を書いてもらい、それを税関に送って薬を引き取るかの選択を迫られ、私のクリニックに書類を持ってきました。
バイアグラはもちろんその時にニュージーランドで処方薬として購入可能であったのですが (1錠$30とかいう感じで、べらぼうに高かったです)、そういう薬でもGPの私が署名した手紙を税関に提出すれば、没収されずに済むようでした。
もしも日本の家族から処方箋薬を送ってもらって、税関で差し押さえになった場合は、GPに行って、このケースのように書類に記入、署名してもらう事ができます。
その際に、その薬がニュージーランドで処方可能かどうか、他の代替薬があるかGPに訊いておくと良いと思います。
私の個人的意見としては、もしもニュージーランドに長期(4ヶ月以上)に滞在する予定なら、必要最低限の薬を持ち込み、こちらのGPにかかって、同じものか代替品を処方してもらうのが一番良いと思います。
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処方箋のいらない、薬局で買えるサプルメントなどの持ち込みは?オンラインで買うことはできるか?
持ち込み
これは自分用か、家族用のものであれば許されています。
期間の決まり(3ヶ月とか6ヶ月とか)はMedsafeのウェブサイトには見つかりませんでしたが、あまり大量に持ち込んで、レントゲンで多量の錠剤が見つかったら、検疫で止められて調べられるなんて事もあり得ます。
ただのビタミン剤とかなら、没収されることはないでしょうが、こんなことで余分な時間を取られるよりも、ニュージーランドで似たようなものを購入した方がずっと手軽ですし、値段もそんなに変わらないでしょう。
一つ気をつけておいていただきたいのは、日本では処方箋なして薬局で買える薬品と思っていても、ニュージーランドでは処方箋が必要な薬であるとみなされる可能性もあるということです。
MedsafeのウェブサイトのClassification of medicines in New Zealandであらかじめ調べてください。
オンラインでの購入
オンラインで買うことも可能です。
これも同様で、ニュージーランドでは処方箋薬とみなされているものでないか、疑問であれば上記のウェブサイト調べてください。
私の患者さんで、アメリカのウェブサイトで自分の欲しいサプルメントを見つけ、輸入したいので、私に処方箋を書いて欲しいと頼んできた方がいました。
結局は処方箋の必要な薬でなく、サプルメントだったので輸入できたようです。郵送費を節約するために1年分買いたいと言っていたのですが、その後何も言っていなかったので、多分できたのでしょう。
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使い捨てコンタクトレンズなどの持ち込みや輸入は?
ただし明らかに他人に売るのだと思われるような大量のコンタクトレンズがスーツケースに入っているのが見つかったら、税関で止められるかもしれません。
コンタクトレンズも日本での処方の詳細があれば(レンズの度数など)ニュージーランドで簡単に買うことができますし、日本のコンタクトレンズのオンラインサイトでもニュージーランドまで送ってくれるところもあるようです。(”コンタクトレンズ ニュージーランド”とか”コンタクトレンズ 海外発送”とかでgoogleすれば出てきます。)
例えば下のようなショップは、海外に追加料金なしで送ってくれるようです。
今回調べているうちに、日本の法律で、日本帰国時に持ち帰れるものの量に規制があるのを初めて知りました。
以下は日通のウェブサイトからの引用です。
医薬品医療機器等法により規制を受ける医薬品、医療機器、化粧品等で以下の表の制限を超えるもの
規制を受ける代表的な品目 | 個人使用で輸入できる数量 |
使い捨てコンタクトレンズ | 2ヶ月分以内(装用期間に準ずる枚数のみ) |
処方箋薬 | 1ヶ月分以内 |
外用薬(軟膏、点眼薬等) | 1品目24個以内 |
その他の医薬品、医薬部外品(育毛剤を含む) | 2ヶ月分以内 |
化粧品類(石鹸、浴用剤等) | 24個以内(品目毎に) |
家庭用医療機器(電気マッサージ器、血圧計等) | 1セット以内 |
電子タバコキット | 成人一人あたり1セット |
医療機器(CPAP-睡眠時無呼吸症候群治療機器、聴診器等)動物用医薬品(ペット用含) | 1つでも規制を受けるため、別途手続きを行った上で輸入の可否が判断される。 |
以上全て日本から持ち出したものでも、輸入する時は規制を受けますのでご注意ください。
例えば日本から持ち込んだ薬やコンタクトレンズなどを全部使わなかった場合、それを持ち帰ってくるのに、規制があるとのことです。
日本だとスーツケースをレントゲンに通すこともしないので、持ち帰って日本の税関で何かを言われる可能性は非常に低いと思いますが、参考までに。
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まとめ
1. 日本から処方薬を持ち込むときは、処方医に英語で手紙を書いてもらい、処方されたままの箱に入れて持ってきましょう。普通の薬は3ヶ月、経口避妊薬は6ヶ月、モルヒネなどは1ヶ月まで持ち込めます。
税関で申告するのを忘れずに。
2. 郵送による輸入も、処方箋薬は同じような期間の規制があります。これにはニュージーランドの医者の処方箋または手紙が必要です。
3. ニュージーランドで処方薬とされていないサプルメントなどは持ち込みや輸入ができますが、Medsafeのウェブサイトで、ニュージーランドで処方箋が必要な薬物でないことを確認してください。
4. ご自分の使っている薬の成分を英語で紙に書いて、ニュージーランドの薬局で訊けば、同じようなものがニュージーランドにあるか教えてくれるでしょう。
もちろん処方薬であれば、GPを受診して訊いていただければ、同じ薬か代替薬を処方してくれます。