日本の医学生や医師の海外短期研修 - ニュージーランドに来るには

海外で短期研修をしたい医学生や医師の方は少なくないのではないでしょうか。

「将来のことを考えると、生活の場を海外にしたくはないけれど、日本以外の医療も見てみたい」とか

「海外で仕事をしないなあ、と思っているけれど決心がつかない。どのような感じなのか、短期間だけ経験できる方法はないかな」

とか、思っている方はいらっしゃるでしょう。

(最近は医学部在学中に、海外に短期で行く医学生さんも多いようですね。)

ただ、見学して知識を広めたいのか、実際に海外での病院のチームとして短期間でも働きながら学ぶ気があるのか、など最終的にそれぞれの方が海外研修で得たいものによって、それぞれが研修に参加する形は異なると思います。

誰かに全部アレンジしてもらって旅行感覚で「ちょっと見てみたい」という人には、アメリカ方面などいくつかツアーのようなものが出ているようなので、ググって調べてみてください。

この先は、もっと深く海外での医療を経験してみたい医学生、医師の方のための情報です。



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ニュージーランドで短期間の臨床医学研修をする方法

ニュージーランドのDistrict Health Boardや大学によるもの

あまり知られていないと思いますが、ニュージーランドのDHBでも、短期で海外の医学生の受け入れをしています。

「DHBって何?」という方はこの記事を参考にしてください。

勿論、ニュージーランドの医学生が最優先ですので、研修をする地域によっては短期研修の枠は非常に狭き門ですし、色々と事前に用意する書類などもあるので「ちょっと行ってみたい」という気軽さでは行けるものではありません。

またほとんどのDHBは医学部の最終学年を対象にしています。

ただ申し込みは最終学年になる前にしないといけないですし、自分が日本の最終学年で海外に出た場合の、取得単位の問題など事前のチェックが必要です。

 

アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアと同じく、ニュージーランドでも医学部最終学年では臨床の場に出て、上級医の指導のもとで実際の患者さんを診ています。

このDHBの海外医学部生の短期研修受け入れも、ニュージーランドの医学部生と同じ程度の能力が期待されています。

多分日本の医学部は、臨床能力を医学部生の時点で伸ばすという点では遅れているのだろうと思います。

 

参加するための最低条件として

  • 英語でのコミュニケーションに問題がない(勿論完璧でなくていいですが、ある程度会話ができないと話になりません。)
  • 十分な医学的知識があり、チームの一員として働ける(ただぼーっと見学するつもりなら、他の会社のツアーなどを使ったほうがいいです。)
  • できない事があっても、指導を仰ぎつつその困難を乗り越える気持ちがある

ことが必要です。

 

基本的に申し込み時に用意しないといけないもの、または受け入れを考慮されたら用意しないといけないものは

  1. 履歴書(推薦人付きが好ましい)
  2. 十分な英語力を証明するもの
  3. パスポート
  4. 必要なビザ(学生ビザになるのだと思いますが、DHBの担当者に確認必要)
  5. 医療賠償責任保険
  6. 警察証明(英語)
  7. 旅行保険
  8. 十分な資金(もちろん給料は出ませんから。笑)

ただ、そのDHBによって要求するものが異なると思うので、ご自分で確認してください。

6の医療賠償責任保険については、多分多くの医学生は大学を通してこのような保険に入っていると思います。

短期研修中に行った医療行為に対し、患者さんから訴えられるリスクを考え、その費用をカバーできる保険が必要です。

私が医学生の時はこんなものに入っている自覚はなかったのですが、知らないうちにセットアップされて、授業料とかと一緒に保険料を払っていたのかもしれません。

保険料を払っている自覚がある方も、海外研修での医療行為がカバーされているかどうか、一度確認してください。

どちらにしても履歴書を書くときに、医学部長か誰か組織の中で権威がある人に推薦人となってもらったほうが良いでしょうから、ニュージーランドにエレクティブにくる予定であることを、自分の医学部に通知しておいてください。

 

私が調べたところで、海外からの医学生研修に関する記事をウェブサイトに見つけられたのは以下の5つでした。

ただ他のDHBも直接連絡すれば、可能かもしれないので、どうしても行きたい地域がある方は、その地域のDHBに連絡してみてください。



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Auckland オークランド

Aucklandオークランドは、ニュージーランドで1番の大都市で、ここで働きたい医学生は多いため、とても競争は激しいです。

 

応募できるのは医学部の最終学年の学生のみです。期間は8週間まで。

海外の医学生ができるelectiveの科は限られています。

英語が堪能であることを示す必要があり、IELTSが7.5以上である証明が必要。

また医学生は自分で、医療賠償責任保険と旅行保険をかけてくることが必須で、その証明を求められます。

 

また、オークランド大学は東京、京都、慶応大学などと提携を結んでいるようです。提携関係にある医学部の人は、他の医学部の人より優先度が高くなります。

これが海外医学部生のための情報ページです。

Waikato

このページの真ん中にこのような記述があります。

Waikatoもオークランド大学の医学生が行くので、1番のオークランドと同じ条件だと思います。

これが海外医学部生のための情報ページです。

Taranaki

Taranakiもオークランド大学の医学部生が来ます。

海外の医学生が短期研修するときのアドミニストレーションチャージは $750。

宿泊は Staff Hostelで可能とのこと。

これが海外医学部生のための情報ページです。

上のサイトに申し込み時に必要な事項が書いてあります。

研修に来たい時期、希望の科など以外に、推薦人を含めた履歴書が必要。

警察証明や医療賠償責任保険などについては記載がありませんでしたので、問い合わせ時に確認してください。

特に医療賠償責任保険については、DHBが必要としなくても、ご自分を守るために用意しておいてください。



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Hawkes bay ホークスベイ

ホークスベイでは、Hawke’s Bay Fallen Soldiers' Memorial Hospital での研修になります。

Hawke's Bay Fallen Soldiers' Memorial Hospital はオタゴ大学の学生も研修を行う病院です。

宿泊施設も空いていれば用意してもらえるようです。NZ$100 (gst/tax incl) per weekを到着時に滞在週分を支払います。

研修は2−6週間。最低でも4週間、という科もあるようです。

以下の科では医学生の研修を行っていないとの事。

  • Emergency Department
  • Cardiology
  • Respiratory
  • Neurology
  • Ophthalmology
  • Endocrinology

必要書類は

  • 履歴書
  • 日本の学部長からの手紙
  • 警察証明(英語で)
  • パスポートのコピー
  • 医療賠償責任保険(証明が必要)

これが海外医学部生のための情報ページですので、ご自分で再確認してください。

Otago オタゴ

オタゴ OtagoではDenedin Hospital とInvercargill HospitalでElectiveが可能です。

期間は4週から8週で、一つの科のみに限られます。

医学部の最終学年の学生のみが申し込めます。

Dunedin Hospitalで短期研修可能な科
  • Cardiac Surgery
  • Ear, Nose, and Throat
  • General Surgery
  • Neurosurgery
  • Ophthalmology
  • Orthopaedics
  • Urology
  • Cardiology
  • Gastroenterology
  • Older People's Health
  • Nephrology
  • Neurology
  • Radiology
  • Rehabilitation
  • Respiratory
Dunedin Hospitalで研修できない科
  • Anaesthesia
  • Emergency Medicine
  • Intensive Care
  • Obstetrics and Gynaecology
  • Paediatrics
  • Psychological Medicine
  • Rural General Practice
  • Sports Medicine
  • Urban General Practice
Southland Hospital (in Invercargill)で研修可能な科
  • Anaesthesia
  • Emergency Medicine
  • General Medicine
  • General Surgery
  • Orthopaedic Surgery
  • Urology
Southland Hospital (in Invercargill)で研修できない科
  • Psychological Medicine
  • Obstetrics and Gynaecology
  • Paediatrics

宿泊場所はDunedinは自分で都合をつける(リストはくれます)。

Invercargill ではSouthland Hospital Doctors' Residenceに 週NZ$85.00 程度で宿泊可能。部屋がない場合は自分で都合をつけます、

受け入れられたら、$1,250.00 を6週間以内に支払う必要があります。

以下の国からくる学生が優先ということなので、日本からの学生は難しいかもしれません。

  • Australia
  • Canada
  • United Kingdom
  • United States of America

必ずご自分でこのOtago DHBの情報ページを確認して、担当の人に連絡してください。

ニュージーランドのGPのクリニックや関連施設の見学

GPクリニックの研修は、DHBを通して行うことは難しいと思います。

ただニュージーランドの医学生が私の働くクリニックに時々送られてくるので、海外の医学生でも、上記のDHB経由の研修でGPクリニックに来ることは不可能ではないかもしれません。

非常に興味がある人は、色々なDHBを当たってみる価値があると思います。

2024年2月現在、以下に記載した私のクリニック見学のボランティア活動は行っておりません。

私の予定によっては、半日から1日までの見学は可能かもしれませんので、興味がある方は、お問合せください。

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そんな状況を踏まえて、私自身が個人的に日本の学生、医師の方にニュージーランドのGPのクリニックや関連施設を紹介するボランティアワークを始めました。

 

期間は1週間程度まで。

私のクリニックで、私の診療や看護婦の仕事などを見学。

その方の医学に関する知識と能力、英語の能力、医療賠償責任保険の有無によっては、トレーニングとして患者さんの問診や簡単な理学所見などをとってもらうこともできます。

他にはホスピスや、理学療法士などGPの仕事と関連した施設も見学が可能です。

(ニュージーランドの医学生が既に見学予定している日には、見学は不可です。)

宿泊や飛行機などは、ご自分で手配していただきます(必要な手助けはします)。

全ては完全に私や同僚、私の働くクリニック、他の施設がボランティアでやっていることです。(ホスピスなどの施設は、もちろん教育も活動の一部ですが、将来ニュージーランドの医療に貢献しない人にも、お願いすると快く引き受けてくれるのです。)

私自身にとっては、日本の医学生、医師の方に説明や教育する時間の分、患者さんを診られる数が減り、その分収入も減ります。

ただ、参加者が熱意がある方ならば、その人を教えることで私が学ぶものも多いですし、自分の次の世代の人たちが知識や経験を広げることに、出来るだけ協力したいと思っています。

勿論クリニックにとっても、患者さんを出来るだけたくさんGPに診てもらいたいので、そう意味でも私が日本からの医師や医学生を連れてくることに文句を言わないで協力してくれて、本当にありがたいと思います。

最終的に受け入れるかどうかは、skypeなどで実際に話をさせていただいて決めることになります。

興味がある医学生、医師の方がいらっしゃったら『お問い合わせフォーム』より連絡してください。

こちらに今まで研修に来てくれた医師の方のレポートを載せてあります。

 

 

 

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