まずは基礎編で、最低限必要なところを押さえておきましょう。
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旅行者、学生ビザまたは2年未満のワークビザ保持者
病気
旅行者や学生さんが医者にかかる時は、実費の医療費がかかります。
旅行保険や医療保険加入を忘れないようにしてください。
病気になったら、普通はGeneral practitionerにかかるか、救急のクリニックにかかります。
公立病院の救急外来も受診できますが、どちらにしても実費を請求されますし、公立病院は基本的には公費の医療を受けられる人のための施設なので、できるだけ、プライベートの救急クリニックを受診しましょう。
診察までの待ち時間も、公立の救急外来に比べると短いです。
(ニュージーランドに2年以上のワークビザを持ち、税金を納めている人は、公立病院の救急外来は無料です。)
もしも滞在中に、他の専門家の診療が必要になった場合は、公立病院やプライベートの専門家にGPから紹介されます。
普通はプライベートの専門家に紹介されることになると思います。
(公立病院の受診までの待ち時間は長いですし、納税者の患者さんの待ち時間を、旅行者がさらに長くする必要はないです。)
事故
ニュージーランドには独自のAccident Compensation Corportion (ACC) と言うシステムがあります。
事故に巻き込まれて怪我をした場合は、旅行者であっても、ほとんどの医療費はACCにより払われます。(もしも旅行者の過失で、本人や他の人が怪我をした時もです。)
ただ旅行者が自国に帰った後は、ACCはそれ以降の治療費の援助はしないので、旅行保険は必ずかけてきてくださいね。
私個人的には、旅行者の医療費が、私達のようにニュージーランドに住み、働いている人々の税金から払われているのは理解できません。
ニュージーランドで働いている人は基本的にACCの掛け金を払っています。その金額はその人の職業、収入、勤労時間(フルタイムかパートタイムか)、勤労形態(雇用主か自営業かとか)によって異なります。
基本的には、仕事をしていたら必ずこの掛け金を払わないといけないので、日本の国民保険と似たような感覚ですね。
NZ Heraldの記事によると、2016年の時点で、ACCが怪我をした旅行者のために使ったお金は510万ドル (1ドル73円として、3億7千万円余り)だそうです。
ACCに曰く『ACCのno-fault システムは、事故に関わったどの人にも責任を問わず治療費を払うシステムなので、、ニュージーランドで訴訟が起こるのを防いでいる。
もしも旅行者が自分の過失でなく怪我をした場合、自分の旅行保険を使って医療費を払ったら、その保険会社が、過失のあるニュージーランド人に対して訴訟を起こす可能性がある。その損失を考えると、多額の治療費を旅行者に払う甲斐がある』とのことです。
本当にそういう計算になるのでしょうか。
大半の事故はその人の責任でしょうから、もしも訴訟になっても、3億円も訴訟で怪我した旅行者に払うことになる可能性はどのくらいあるのでしょうか。
ちょっと納得がいきません。
すみません、だいぶ話が逸れました。
薬代
公費の医療を受けられない人は、薬は、薬剤会社の販売価格で買うことになります。
ACCでカバーされた怪我に使う抗生物質や痛み止めでも、薬には政府の補助はないので、あまり安くはないです。
旅行保険を忘れないでください。
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次はニュージーランドに長期で住んでいる人の場合です。
ニュージーランド国民、永住権保持者、2年以上のワークビザを持つ人
病気
基本的に全ての医学的問題はかかりつけのGeneral Practitioner(GP)にかかります。
「かかりつけ」のGPには、予め登録している必要があります。
同時に2つ以上のGPクリニックに登録する事はできません。
GPが治療にあたり、半数以上のケースはGPから他の専門医に紹介されることなく解決するか、管理されます。(すべての症例の統計をとったわけではないので、『半数以上』というのは私の印象です。)
診断が確定しなかったり、治療に難航するケースについては、必要と判断されれば、患者さんと話をして、GPが各科の専門医に紹介します。
公立病院の専門家を受診するのは基本的に無料で、画像診断や検査、手術、入院なども全て無料です。
(食事代も3食と午前午後のおやつは含まれています。午前中にもおやつ(Morning tea)があります。日本も同じでしょうか。)
もしも時間外などで、公立病院の救急外来にかかったら、これも無料です。
GPからセカンダリーケアの専門医に紹介が必要な時は、紹介先はプライベートの専門医を選ぶことも可能です。
自分で医療保険に入っている人たちは、待ち時間の短さから、プライベートの専門医を選ぶことが多いです。
ただ医療保険も、どのタイプのものに加入しているかによって、手術だけカバーされるとか、GPの費用もカバーするとか(これは、とてつもなく掛け金が高いのだと思いますが)いろいろなので待ち時間と費用の兼ね合わせで、どうしたいか患者さんが決めるのが普通です。
怪我
この場合も、かかりつけのGPクリニックがある場合は、GPにかかるのが普通です。
先に述べた旅行者とケースと同じで、ACCが殆ど費用をカバーしてくれます。
ただしGPへの受診は、(特別にACCが資金をカバーしている救急のクリニックを除いて)一般の受診料より少し低くなる程度で、無料ではありません。
その先、プライベートの専門医に紹介されると、その受診は通常ACCがカバーします。
ACCは患者さんが怪我によって仕事ができないときに、その所得の大半をもカバーもします。
(一生後遺症が残る様な怪我であれば、死ぬまで面倒を見てくれるという感じです。ただ65歳になれば、所得の分は政府の年金に置き換えられるか、一括でまとまったお金をACCから払われるように手続きするようです。)
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理学療法士、整体師などの受診
これらはプライベートのビジネスなので、基本的には受診料への政府からの補助はありません。
ただACCにカバーされた疾病に対しての治療には、ACCから少し補助が出ます。
薬代
薬については、政府がどの薬は患者が払う費用をカバーするかを決めて、その薬の中のある会社のもの(複数ある場合もあり)には援助が出ます。
政府が費用を援助する薬は、3か月分を$5で買えます。(2019年6月現在)例えば高血圧の薬を2種類飲んでいたら、3か月分の薬を手に入れるために全部で$10 薬局に払うということです。
(2019年9月のアップデート - 最近は、処方箋があれば、政府のfundingがある薬は無料でもらえる薬局が出てきたようです。)
もしも何らかの理由で、政府のカバーがない薬を使う場合は、薬会社の言い値である販売価格を払うことにないます。
1つの家族内で、1年の間に20以上の薬を処方されると、21番目の薬からは無料になります。つまり一つの家族の中で$100/年より多く薬代はかからないということです。(政府から補助のない薬や、処方箋なしで薬局の店頭から薬を買うのはこの計算に含まれません。)
次回、ニュージーランドの医療システム(日本との比較ー中級編)ではもう少し医療システムの深いところを、医療報酬などの視点から見ていきたいと思います。