日本人医師がニュージーランドで免許を取るためのプロセス- 研修医として始める場合

日本で研修をし、日本で医師免許を取った医師が、ニュージーランドで働くには何が必要か。

今回は、つまり日本の医師免許を持ち、トレーニングは日本でしか受けていないケースについて説明します。

日本で既に専門医の資格を取った方は、postgraduateとして行くパスウェイの方が容易である可能性があるので、こちらの記事を参照にしてください。

この方法では、一度に長期のregistrationは取れませんが、実績を残せば、その後長期の専門医のregistrationに繋げられる可能性が大です。

(私もこの方法で外科医としてキャリアを続ける選択肢も、今から思えばあったのですが、知っている人(GP)から「専門医として来るのは無理だよ」と言われ、この選択肢を調べもしませんでした。自己責任ですね。皆さんは、他人の言うことを鵜呑みにせずに、自分で調べてください。笑)

 

2019年現在、研修医1年目のポストが不足していて、NZREXを通ってきた海外医学部卒の医師は職を得るのが困難です。

それを考えると、いますぐニュージーランドに来たい方も、

英語を磨きつつ、日本で専門医の勉強をしてからニュージーランドを目指す

と言う選択肢も考慮しておいた方が良いかなと思います。

詳しくはこちらの記事を参照にしてください。

 

 

 

Medical council of New Zealand(MCNZ)のウェブサイトに詳しい情報があるので、真剣にニュージーランドで医師として働くことを考えている方は、参照してくださいね。

これがMCNZのウェブサイト上の、自分でアセスメントをするツールのページです。

 

ではニュージーランドで働く為にどんな条件をクリアする事が必要か、順を追ってお話ししましょう。



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日本の医師免許

自分の卒業した学校がこちらのリストに載っている必要があります。

私の大学以外はリストでチェックはしていませんが、日本の医学部は全て載っているだろうと思います。

2019年現在、いわゆる”2023年問題”がニュージーランドでも起こるのかどうかはわかりません。

もしも2023年になって、自分の日本の医学部がアメリカ医科大学協会(AAMC)または世界医学教育連盟(WFME,WHOの下部組織)の基準を満たしていなければ、USMLEが受けられないと言うことになります。

NZREXと言う、後述する試験を受けるための条件としてUSMLEのStep1 とStep2 CKをパスすることがあります(他の試験で代替することもできます)。

そのため、もしも自分の医学部が基準を満たせないという最悪の場合は、代替の試験(イギリス、カナダまたはオーストラリアの同等のテスト)を受けざるをえないかもしれません。

 IELTS - The International English Language Testing System

ご存知の方も多いと思いますが、国際的なIELTS は語学力のテストで、主にイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで使われています。

IELTSにはAcademic と General training の二つのタイプの試験があり、用途によりどちらが必要かという指定があります。

ニュージーランドの医師の試験を受ける為に必要なのはAcademicです。

 

それぞれはReading, writing, speaking, listening の4つのパートからなっており、IELTSを受けると、それぞれのパートのスコアとオーバーオールのスコアが得られます。

(IELTSのウェブサイトウェブサイトを見ると、Speaking とlisteningは両方のタイプに共通しているようです。)

 

2019年現在、ニュージーランドで医師としての試験を申し込むには、オーバーオールのスコアが7.5以上、各パートのスコアが reading 7, writing 7,  speaking 7.5, listening 7.5であることが必要です。

私の2001年受験時のスコアは、reading 8, writing 8, speaking 7, listening 7.5でした。

この記事を書く為に、昔のレポートを引っ張り出してきて、初めて気が付きました。その頃はspeaking 7でも大丈夫だったのでしょう。

今だったら落ちていましたね。(⌒_⌒;

 

敷居が高くなったのか、IELTS自体のレベルが変わったのかはわかりませんが。

ただ、ニュージーランドは他の国に較べ、必要なスコアが高いのは事実です。

下に他の国での必要なスコアを表にして較べてみます。

Reading Writing Speaking Listening Overall
イギリス 7 7 7 7 7
アイルランド 6.5 6.5 6.5 6.5 7
カナダ 6.5 6.5 6.5 6.5 7
オーストラリア 7 7 7 7 7
ニュージーランド 7 7 7.5 7.5 7.5

 

中学校から英語が好きだった私は、他の人よりも"英語ができる”と言われ、研修医として働いている時には日本訪問中の外国医師に英語で説明したり、英語で部門内のカンファレンスを仕切ったり、海外の学会でプレゼンしたりしていました。

それでもSpeakingのIETLSの点はイマイチでしたね。

Speakingとlisteningがよくできるに越したことはありません。仕事のストレスが減ります(笑)。

こんなオンラインコースを見つけました。語学学校に通うよりは安いですし、試してみる価値はあるかもしれません。
IELTS最短合格マニュアル

結局は英語の能力を全体的に上げることが必要ですが、やはりこういった試験はそれなりのパターンがあるので、それに従ってどのように高得点をあげるかを理解するのに役立つと思います。

(IELTS以外の試験や方法で、語学力が十分であることを証明することも出来ます。詳しくはNew Zealand Medical Counicilのウェブサイトを参照して下さい。)



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 USMLE - United States Medical Licensing Examination

USMLEはアメリカで研修をするのにも必要な試験なので、概要はご存知の方が多いと思います。

ニュージーランドでも、まずUSMLEのStep1 とStep 2 CK (clinical Knowledge)にパスしていないといけません。

(語学試験と同じで、これも他のテストで代用することができますが。)

実は私は、医学部を卒業する頃にアメリカへの留学を夢見て、一度USMLEを受けました。

1992年にパスしたのですが、結局決心がつかず日本に残りました。

2003年時はStep 1 が225点、Step 2が221点でした。

 

NZREX

IELTS、USMLE など必要な項目を全てクリアしたら、次の試験NZREXに申し込むことができます。

これは全ての臨床の科目に渡った Objective Structured Clinical Examination' (OSCE) フォーマットの試験です。

NZMCは少なくとも12ヶ月の初期研修を終えてから、NZREXを受ける事を勧めています。

特に、医学部在籍中に、本当の臨床の場でトレーニングをすることが少ない日本では、ある程度研修医の経験をしてきたほうがいいと、私も思います。

 

ただ、反対に、既に専門分野を10年近く日本でトレーニングした後に、産婦人科など初期研修時に通過しただけの科(笑)に関し英語で実技試験を受けるのは、私にとって結構大変でしたが。

こちらにNZREXのサンプル問題を載せているので、参照にしてください。

 

さあ、NZREXに受かったら、いよいよニュージーランドで医師としてのデビューです.

とは言っても、まずは病院で下っ端研修医生活ですが(笑)



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試験のコスト

試験にどれだけお金がかかるかを、まとめてみました。(2018年現在)

1. ニュージーランドのメディカルカウンシル(NZMC)に申し込む段階まで

USMLE

Step1                     US$910 (+ $150 - 日本で試験を受けた場合)

Step 2 Clinical Knowledge  US$910 (+ $170 - 日本で試験を受けた場合)


小計                             US$2140 = 241,820円 (US$1= 113円として)

IELTS    

                                                              25,380円

(もしもIELTSの代わりにOETを受けると、AUA$587=46,960円 (AU$1=80円として))

NZREXを受ける段階

NZREX Application fee       NZ$466.96

            Examination fee      NZ$3480.76


小計         NZ$3947.72 = 292131.28円 (NZ$1=74円として)

NZREXはニュージーランドでしか受けられないので、受験のためにはニュージーランドへの飛行機代とか、宿泊費が必要になります。

試験の費用だけを合計すると、559,311.28円でした。

安くはないです。経済的(そして精神的)損傷を最少に抑えるために、全ての試験に一回で合格する事を目指して、頑張りましょう。

将来的には、ニュージーランドで仕事をしたい日本の若い医師を援助する様なサービスを、私が提供できたらいいなと思っています。

この記事を読んで、ニュージーランドで医師免許を取りたいと思われたあなたには、ぜひこの記事も読んだおいていただきたいです。

 

  • B!