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NZの医療情報

DHB、PHOって何?ニュージーランドの医療システムの枠組みを説明します。

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DHB、PHOという名前を聞いたことがあっても、何のことを意味しているのかよくわからないという方が多いのではないでしょうか。

「DHB」はよくニュースに出てきますし、「PHO」はGPに行った時に聞いたことがあるかもしれません。

ということで、今回は、DHB、PHOについて説明します。

(この記事は、nzdaisuki.comでの質問に対して私が書いた答えに、加筆したものです。)



District Health Board (DHB)

DHBとは

District Health Board(DHB)は、現在ニュージーランドに20あり、それぞれの地域の医療を管轄しています。この20のDHBで、ニュージーランド全体をカバーしています。

DHBは2001年に設立されたので、そんなに昔からあったわけではないのです。

このWikipediaの記事によると、DHBが全く何もないところからできたわけでなく、その前身となるregional health authorities" (RHAs) その後にできたHealth Funding Authorityを経て、設立されたようです。

(私は2002年にニュージーランドへ来たので、その頃にはもうDHBがあったのですが、この記事を読んでいらっしゃる方の中には、それ以前の状況をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。)

上記のWikipediaの記事の表にあるように、それぞれのDHBがカバーする人口はかなり異なりますが、基本的な構造と目的はどのDHBでも同じです。

Ministery of healthのウェブサイト上のMy DHBをみると、それぞれのDHBについての情報を調べる事ができます。

どのDHBがどのくらい政府からお金をもらっているか、昨年に比べ増えているかとか、DHBの連絡先、ウェブサイトのアドレスなどです。このページのリンクからさらに、それぞれのDHBの年代別や貧困度別の人口統計などもわかります。

DHBの目標

DHBの目標は

to improve the health of their populations by delivering high quality and accessible health care 

質の高く利用しやすい医療を提供することにより、DHBがカバーする地域の人たちの健康を改善すること

(Ministery of Health のウェブサイトより引用)

とあります。

素晴らしい目標ですが、非常に漠然としています。

まるで、ピアノを習っている子が、「今年はちゃんと練習して、上手になって、聞いている人が楽しめるようにする」という目的を立てるようなものです。

そのため、この目標をもっと具体的にした下の様なターゲットが設定されています(他にもいろいろなターゲットがあります)。

  • 救急外来に患者さんがいる時間を短くする。
  • 予定手術(股関節の手術など)へのアクセスを改善する
  • 癌治療の待ち時間を短くする
  • 予防接種率を上げる
  • 喫煙者の禁煙をさらに援助する
  • 健康な子供達を育てる
  • 心臓や糖尿病のチェックを更に徹底する

DHB全体や各々がどれだけ全国的な医療に関する目標に近づいているかは、Ministers of Health のウェブサイトHow is my DHB performing?で見ることができます。

DHBはこの目的を達成するために、政府から与えられたお金を、どれだけ何に使うかを決めます。カバーする人口の大きさと構成、貧困度などはDHBによって異なるので、その地域のニーズも違ってきます。

例えば、

Maoriの子沢山で収入が少ない家庭が多くある地域では、収入が多い白人の独身者が多い地域に比べると、予防接種の徹底や家のinsulationの補助などに政府のお金を使う事になるでしょうし、

学生が多い街では、若者のmental healthにお金をより使うことになるかもしれません。

 

1次ケア、2次ケア、3次ケア

ところでみなさん、「1次ケア、2次ケア、3次ケア」という言葉を聞いた事がありますか。

1次ケア(プライマリーケア Primary care) は私達GPがしている医療です。

人々が病気にならない様に健康に関するチェックや指導をしたり、人々が病気になった時に、先ず最初にアセスメントをして治療を行います。

2次ケア(セカンダリーケア Secondary care) とは、プライマリーケアのレベルで問題が解決されなかったときに、紹介されて行くレベルで(勿論、心筋梗塞を起こして直接、救急車で病院に行くこともありますが)、通常では病院の専門医の外来や、入院、手術などが含まれています。

3次ケア (ターシャリーケア Tertiary care) とは、さらに専門化された治療が行われる所で、例えば小児のがん治療とか、開心手術とか、臓器移植とか、一般の病院では行われない治療を指します。

 

DHBはこれら全てのレベルのケアで「質の高い利用しやすい医療を提供する事」を目指しています。

DHBが1次レベルのケア=プライマリーケアのターゲットを達成するために、政府のお金を回し、主に仕事を任せている機関がPHOです。



PHO (Primary Health Organization)

現在(2018年12月)ニュージランド全国に32のPHOがあります。

PHOはNPOで、その役割はその名のごとく、プライマリーケア医療を充実させることです。

PHOがやろうとしていることは、住民のプライマリーケアの改善です。

例えば

  • 禁煙率や予防接種率を上げる
  • 子宮頸部がん検診の率を上げる
  • 心筋梗塞や脳梗塞のリスクをチェックして、健康的なライフスタイルを啓蒙する

などです。

ただ全てをPHOだけで行うのは不可能なので、医療の部分は誰かに託してやってもらわなければなりません。それをするのがGPクリニックやマオリのprimary health care provider などである訳です。

PHOに関しても、Ministery of HealthのウェブサイトHow is my PHO performing?に、それぞれのPHOの登録人口の中で、検診率や予防接種率などがどれだけ政府のターゲットに近づいているかを見ることができます。

 

皆さんが、かかりつけのGPを決めて登録するとき、普通は管轄地域のPHOに同時に登録をします。そうしないと、いろいろなサービスを無料や少ない費用で受けることができなくなる可能性が出てきます。

一度、ご自分の登録しているPHOのウェブサイトを見てみて下さい。今まで知らなかったいろいろなサービスがあるのに気が付かれるかもしれません。

 

ほとんどは、登録した住民には無料のサービスで、GPを通さなくても自分で申し込めるものもたくさんあります。



最後に

最後にニュージーランドの医療システムの図をMinistery of healthのウェブサイトから引用しておきます。

図そのものを載せようかとしたのですが、スクリーンショットを載せるとぼやけてしまって字が読めなかったので、上記のリンクから、Ministery of healthのサイトそのものへ行って見ていただけるとありがたいです。

どこにDHB、PHO、GPが位置されているか、他にどのような機関、団体があるかわかると思います。

次回DHB、PHOという言葉を皆さんがお聞きになったとき、少しでも身近に感じていただけたら良いなあと思います。

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