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General Practitioner NZの医療情報

ニュージーランドの医療システムの中でのGeneral Practitioner (GP)の役割

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

General Practitioner (GP) とは何か

ニュージーランドに新しくいらっしゃった方には、General practitioner (GP)は馴染みがないものだと思います。

GPは日本でいう開業医と似ているのですが、大きな違いは 全ての科を扱う ということです。

内科、外科、皮膚科、精神科、婦人科、小児科などすべての科を扱う「総合診療科」です。

現在は日本でも「総合診療科」がある病院は珍しくないようですが、開業医としての総合診療科医はまだ少ないようです(2018年現在)。

ニュージーランドのGP の中にも、

  • 麻薬やアルコール中毒の治療が得意だとか
  • 子宮内避妊器具 (Intrauterine Device - IUD) や避妊用のインプラント挿入ができるとか
  • スポーツ医学の経験が豊富だとか

いう、サブスペシャリティーがある人も多くいます。

それでも基本的には、すべての科の診療ができる知識を持っています。



ニュージーランドの医療システム

まず、日本とニュージーランドでは、医療システムがかなり異なります。

  1. ニュージーランドでは、整形外科、婦人科などの問題を持つ患者さんも、まず
    自分のかかりつけのGPに行き、
  2. GPが治療までできるものは、そのレベル(プライマリーケアと呼ばれます)で対処
  3. 診断が困難な症例や、治療が順調に進まない症例などは地域の病院に紹介されます。(セカンダリーケアです。)
  4. 救急と判断された患者も地域の病院へ送られます。

費用の点からいくと基本的には、公立病院で治療は、外来、入院、手術を含め無料です(=税金でカバーされている)。

日本の国民保険のように、毎月決まった保険料を払うことはありません。

 

GPの診療は、政府からの支払いと患者さんからの支払いで、その費用がカバーされます。

これは日本での開業医や病院への支払いと少し似ていますね。

かかりつけのGPクリニックでは、患者さんが診療費全額を払う必要はないのですが、もしもかかりつけでないGPに行った場合には、全額支払わないといけません。

自分で医療保険に入るという選択肢もあります。

そうすると公立病院での、紹介から外来診療までの長い待ち時間に煩わされることなく、プライベートの診療をしている専門医にかかることもできます。

(プライベートの専門家への紹介も、通常はGPを通して行います。)

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

ニュージーランドの医療のシステム(旅行者、学生、移住者)- 基礎編

続きを見る

ニュージーランドの医療システム(日本との比較) - 中級編

続きを見る

General Practitionerの役割

いろいろな症状を訴えてくる患者さんの鑑別診断をし、速やかに治療や病院への紹介を行う事が主要な仕事であるのは、日本の開業医と同じです。

他にも、必要な定期検診や予防接種がなされているかチェックしたり、血圧や体重の管理の手助けをしたり。これも日本と同じですよね。

ただニュージーランドの GP は、日本なら別々の医師にかからないといけないようなこと、例えば、子供の予防接種や成人女性の子宮頸部がん検診などを、一つのクリニックで行います。

 

また日本なら

”頭が痛くて神経内科に行ったけれど、痛みの原因は副鼻腔炎だと言われ耳鼻科にいかないといけなかった”

とか

”胸が痛くて循環器内科に行ったら、逆流性食道炎でしょうと言われ消化器内科に紹介された。そこで「食道の問題でなくて、精神的なものですね」と言われメンタルクリニックに回された”

ということがあり得ると思います。

ニュージーランドなら、GPに行けば全ての可能性について一つの場所で対処してもらえます。

上に述べたこと以上に大切なのは、ニュージーランドのGPは、患者さんを、身体的・精神的な面だけでなく社会的・経済的なことまで考慮してホリスティックに診療するということです。

家族全員が同じクリニックをかかりつけにしているのはよくあることで、それもホリステックなケアをやりやすくしていると思います。

例をあげてみれば、

  • 老夫婦の一人が痴呆になった時、配偶者がストレスを溜めないように援助したりとか、
  • 夫婦が別れた時に、彼らや彼らの子供のメンタルケアをしたりとか、
  • 子供が生まれたばかりのお母さんのうつ病を治療しつつ、赤ちゃんが必要十分なケアを受けているか、問題なく育っているかなどチェックしたり

などです。

 

一人の患者さんを診ながら、多様な局面の問題を考慮して、その患者さんと一緒に一番良い選択肢を探っていく。

それが General Practice の大変なところであり、またやりがいがあるところでもあります。