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NZでの医師資格取得情報

ニュージーランドのGPクリニック(総合診療)体験記

更新日:

私が2019年から始めたボランティア活動 ー 医学生・医師を受け入れてニュージーランドのプライマリーケアを体験してもらう ー に参加した方のレポートです。

興味がある方は、問い合わせフォームからご連絡ください。(いくつか条件があるので、個別に説明します。)



1. 札幌 手稲渓仁会病院 糸井裕理先生 2019年3月(国試後卒業前)

NZGPクリニックでの研修を終えて

今回6年生の春休みを利用して3/4~3/9の5日間GPクリニックでの研修に参加した。

1. Bush Road Medical Centre

今回はWhangareiにあるBush Road Medical Centreの野田先生にお世話になった。

GPクリニックは日本の内科外来とは大きく異なり、15分を1枠として様々な科にわたる訴えを持った患者さんが訪れる。

そして15分の使い方も主訴についての診察や治療方針の決定に留まらず、必要に応じて他に心配している健康問題や、家庭環境や仕事の状況などについて確認し、それらの問題についても傾聴したり、アドバイスをしたり、解決に役立つような各機関やシステムについての情報提供をしたりする。

今回私はこの外来に同席する上で、これまで学生時代の留学では経験がほとんどなかった「英語で予診を取れるようになること」を最終目標に設定した。

協力して頂ける患者さんに対して別室で5~10分程度問診をし、その後先生とともに診察に参加させてもらった。

初めは英語を話すことで手一杯で問診を論理的に組み立てられなかったり、問診で集めた情報から鑑別疾患をバランスよく挙げることができなかったり、主訴に引っ張られて、患者さんのバックグラウンドや他の症状を拾い切れなかったり、とうまく行かないことばかりで大変だった。

また週の後半では、先生と患者さんの前で自分が問診で得た情報を英語でプレゼンすることにも挑戦したが、始めた頃は端的に順序よく必要な情報を漏らさず話すことができず、要領の得ないものだった。

しかし最終日には、初日に比べて情報の集め方や、鑑別を挙げるまでの思考プロセスが自分の中でだいぶクリアになり、実習が始まる前に立てた目標は概ね達成できたように感じた。

もう少し滞在時間が長く取れていれば更に学びが深まったと思うと、残念に感じた。

またこのクリニックでの実習後、Homeless Clinicというボランティア活動にも連れて行って頂いた。

NZではGPクリニックを受診することが低所得者層にとって度々大きなハードルとなるが、この活動では無償でGPドクターの診察を受けることができ、必要であれば無償で薬を処方してもらえる。

ここでの活動はたったの1時間であったが、GP Clinicでの問診に比べてより精神的な面について注意して聞くことの大切さを学んだ。

2. North Haven Hospice

このHospiceは北島で唯一入院設備を持っており、入院とcommunity visiting を通じて終末期ケアの対応をしていた。

私が一番驚いたのはHospiceの医師が患者さんの家に訪れた時、患者さんやその家族の現状抱えている医学的な問題や悩みを聞くだけでなく、スピリチュアルな話題についても時間をかけて聴いていたことである。

滞在中、GPドクターは常に患者さんをHolisticに診ているのだと感じる機会は多々あったが、スピリチュアルな分野までカバーすると言うのは実際に実践するのは難しそうだと感じた。

3. Rest Home

日本で言うところの介護施設のようなところであり、終末期が迫る患者さんから認知症のため一人では生活できない患者さんまで様々な背景を持った患者さんが入所していた。

印象的だったのは色々な国籍のスタッフが働いていたことである。

日本と同じように介護業界の人手が足りない現状が反映されているそうだが、将来日本でも同じような状況になった場合、言語の面でNZ以上に問題が起こるだろうと感じた。

たった1週間では到底NZPrimary Care Systemを全て体験することはできなかったが、NZGP doctorが果たす役割の多くはこれから私が日本で医師として働く上で心に留めておきたいものであった。

特に、実際患者さんを診察する際、日本ではどうしてもその時自分が所属している診療科や患者さんの最も大きな受診動機に焦点を当てがちになりやすいと思うので、今回の経験を生かして、私はできるだけ広い視野で患者さんの悩みや問題について寄り添える医師になりたいと強く感じた。

糸井先生は、一人での予診や、患者さんと私の前で現病歴のレポートという、かなり緊張する体験に前向きにチャレンジしていました。本当に、1日ぐらいでかなり問診やレポート技術が上達したので、感心しました。

2. 札幌 手稲渓仁会病院 足立岳貴先生 2019年9月(卒後研修1年目)

 

            Takaki Adachi 2019/09/22~27

学生の時は考えもしなかった、海外で働くこと。今回のニュージーランドGP clinic見学で少しだけ実感が湧きました。

研修生活が始まって初めての夏休み、僭越ながら自分が体験し、感じたことを書かせて頂きます。

海外体験記によくある表現ですが、元々英語は得意ではありませんでした。(もちろん、今でも苦手で必死に勉強中です。)

そんな自分もやはり志は高く、「いい医者になりたい、そのためにもしっかり成長できる病院で研修をしよう。」と一念発起して、研修病院は英語教育に力を入れている手稲渓仁会病院を選びました。が、そこにいる同期たちの半数は帰国子女、英語が当たり前の環境でした。

英語は最低限受験でしか学んでこなかった自分、話すのも聞くのも大変苦労しました。(いや、しています。)
そんな中、自分も将来の設計図の中に海外で働くという選択肢を入れ始めたのは、周囲の環境が大きいです。先輩や同期が当たり前の様に海外で働こうと思っている環境に触れ自分も海外を視野に入れ始めたのは、ごく自然なことだったのかなあと思います。

ある日の朝の勉強会でニュージーランドで働いている日本人の先生が講演に来てくれました。その当時、海外で働くのにアメリカは大変そう、でもオーストラリアやニュージーランドなら行きやすい、との情報を入手していたので非常に興味を持っていました。

講演は非常に面白く、今でもそのスライドは持っているのですが、その先生(もちろん野田先生です)に講義の後メールをさせて頂きました。そこから、スカイプを通じての英語のレッスンを個人的に、無償でしてくださり、その際に野田先生が働いているGP clinicへの見学も誘って下さりました。
ただし、海外の病院に行ったどころか一人で海外も行ったことがないような情けない状態ではあったのですが、せっかくのチャンスなので、と思い夏休みを利用してお邪魔させていただくことにしました。

見学内容

1. GP clinic

ニュージーランドと日本の医療制度の相違点等色々と教えて頂き学んだことは多岐に渡るのですが、ここでは直感的に感じたことについての記載のみにさせて頂きます。

やはり一番日本と異なると感じたのは、検査への敷居の高さ、それに伴う身体所見と病歴の重要性です。
今現在、研修病院で夜の当直をやらせて頂く機会があるのですが、診断で迷った際には採血やレントゲン、CTなどの検査で異常ないか確認したくなってしまい、よく上の先生にも注意されています。

日中の外来カルテなどを見ていても明らかにNZよりは検査の試行回数は多いと思います。つまり、日本とNZでは診察時の情報量に圧倒的な差があります。
さらにNZではこの患者情報が少ない中、1人15分という短い時間で診察しなければならない制限までついている。見ていて、正直とても大変そうでした。

この病歴と身体所見を重要視して検査を最低限のみで診察していく医療のあり方は、素晴らしいと思うと同時に、医療費の問題で悩み続ける日本も見習うべきだと強く思いました。
ただ、今の自分にとって重要な問題としては、身体所見についても医学生でそれほど勉強しておらず、今外来をやりながら必死に勉強している最中です。

これもまたよく言われていることですが、日本の医学生の医学的知識は他国と比べ圧倒的に乏しく、研修医になってからようやく海外の5,6年生と同じレベルに到達する、と言われているそうで、それは実際に鑑別をあげれることや、身体診察から適切な情報を得られるか、ということになると思います。

現に実際の例として、ニュージーランドからの学生が当院で研修をしておりましたが、知識や診察方法など当院研修医と劣らず、非常にしっかりしていました。自分が医学生だった頃のことを考えると雲泥の差です。
もちろん、自分は今から頑張るしかないのですが、将来的には日本の医学教育ももう少し進めば良いのにな、そうすれば苦労も少なかったのかなあなどと強く感じてしまいました。
最後に、突然訪問した見ず知らずの青臭い日本人を心優しく受け入れて下さったBush Road Clinicのスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

2:Homeless clinic

次に印象深かった見学が、ホームレスクリニックです。

衝撃的な事実だったのですが、このホームレスクリニックというのは、ホームレスの方のために無償で医療や食事を提供している組織とのことでした。

野田先生の計らいで、自分も実際にボランティアに参加することができ、一緒に料理をしたり、実際に来られたホームレスの方と話すことができました。

右の写真は実際にボランティアの方と仕事をしている写真です。

左の写真はその日作った大量のメニューの中の一部です。メニューはボランティアの方が考えて何十人分もの食事を作ります。

また、左下のパンなどはある店で余ってしまったパンなどをホームレスの人に分けるため、店員さんが直接持ってきてくれたものです。多くの人が協力して食事を確保していました。

右の写真は実際にホームレスの人たちが集まって食事をもらう場所の風景です。20〜30人くらいの人たちが集まり、食事をもらっていました。
話した中の人にはNZを渡り歩くミュージシャンもいたりして、話しているだけであっという間に時間が過ぎて行きました。

残念ながらこの日は皆さん食事目当ての人しかいらっしゃらず、実際に医療をどの様に提供しているかは見られなかったのですが、いつもは左の図の様に抗生剤などを無償で提供しているそうです。これらは病院で出たあまりなどを集めたものらしいのですが、やはり無料で提供しているのは、すごいことだなあと感じました。

3. 見学まとめ

以上の二つ以外にも、野田先生の患者さんの家にお邪魔してhistory takingの練習や、理学療法士の診療見学、ホスピス職員の在宅訪問に付き添わせて頂いたりと非常に充実した日々を過ごさせていただきました。

5日間という短い間でしたが、現地で医療をしている先生方とお話ができ、間近で働いている姿を見ることができ、非常に刺激的で楽しい日々だった一方で、やはり英語を聞き取れないこと、自由に話せないことのフラストレーションは強かったです。

今のところ、自分にとっての一番の壁はやはり言語の壁ということを再認識しました。日常会話から仕事での会話まで、実際に働くことを考えるとやらなければならない事は山ほどあることを自覚させられました。

今後の展望

今後の人生で自分が実際に海外で働くため、英語の力をつけるにはやはり海外で暮らすのが一番だと痛感しました。当たり前ですが、朝起きてから夜寝るまで、英語に触れ続けることが一番だと思います。

他の病院と比べ英語に触れる機会が多い当院でも、やはり日常業務は日本語ですし、日々の仕事や診療でのClinical Questionなどを調べていると1日はあっという間に過ぎていってしまいます。

自分の将来を見通した上で今取り組むべき課題は、いかに日本で英語の力をつけられるか、という事になります。今現在、周りの同期や先輩に英語力をつける方法を聞きながら、ベストな方法を模索中です。

何はともあれ、自分の座右の銘でもあるのですが、「継続は力なり」という言葉を信じ、コツコツと頑張っていきたいと思います。

野田先生へ

今回はClinicの見学から、先生の家への宿泊まで、日常業務が忙しい中時間を作ってくださり本当にありがとうございました。

英語が喋れるわけでもなく、医学的な知識が豊富なわけでもない、正直やる気しかない自分でしたが、丁寧にご指導して頂き、本当に嬉しかったです。

今もまだ英語の勉強に割ける時間は少ないながらも工夫しつつ努力しております。
また来月からskypeでもご指導いただけたらなと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。

手稲渓仁会病院 研修医1年目          足立岳貴

足立先生はいつもニコニコしていて、やる気いっぱいで、うちのクリニックのスタッフからもボランティアのグループの人達からも愛されていました。笑

彼がlife historyを取りに行った私の患者さんも、"We had such a good time. We laughed so much together!"と言ってました。

 

将来外国で働くつもりがなくても、他の国の色々なシステムを経験することは、日本の医療を振り返り向上していくのに役立つと思います。

営利目的ではないので、やる気がない人に私の時間を割く気はありません。

反対にやる気、学ぶ気があれば、少しぐらい英語が苦手でも構いませんので、研修希望の方は是非ご連絡ください。

 

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