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ニュージーランドの研修医のストライキ  医者の勤労時間と状況

今回は、ちょっととりとめなく、私の徒然なる思いを書いたものになります。

 

ニュージーランドでは、最近(2019年1月)研修医のストライキがありました。

約3300人の研修医が、労働条件の改善を求めて、48時間のストライキをしたのです。

この研修医たちはThe New Zealand Resident Doctors' Association (RDA)と言う団体に所属してiいます。研修医の労働組合のようなものです。

RDAは multiple-employment collective agreement (MECA) と呼ばれる研修医の労働条件(給与や勤務時間、年休など)の合意書をDistrict Health Boards (DHBs) との間で取り決めるのですが、最後のものが2018年の2月に期限切れになって、更新されていません。

実情は、研修医が休みの日や予定勤務時間外も、人材が足りないところをカバーするべく働かされ、研修医本人だけでなく、この疲労した医者にケアされる患者をも危険にさらしていると訴えています。

これが初めてのストライキでなく、去年もストライキがありました。

どうもDHBとRDA間の交渉が、うまく進んでいないようです。

一番交渉の難点になっているのは、RDAは研修医が連続して働く日には12日から10日に短縮(夜勤は7日から4日に減らす)し、なおかつその休みになった2日分も給料をDHBが研修医に支払うことを要求しているからということです。

 

この辺が私にはよくわかりません。

研修医は10日以上は続けて働かないようにして、働かないに日は給料は払われない、というのではいけないのでしょうかね。

そうすれば、その研修医に払わなくて浮いたお金を使い、DHBがもっと研修医を雇えばいいと思うのですが。

RDAが現在要求していることをDHBが受け入れたら、さらに140人の研修医と1100万ドルがかかるらしいです。

NZREXを合格しても、職がないという海外から来た医者がたくさんいるのですから、140人の求人なんてすぐに埋められるのじゃないかと私は思うのですが。

DHBの偉い人たちは、海外からの医師の多くが就職先もなく困っていることなど、全くご存知ないのでしょうね。

 

(『NZREX合格後、職がない』というところに興味がある方はこちらの記事を参照にしてください。)

NZREXとその後のmatchingの問題

とにかく、交渉はまだ続いていて、また近々ストライキをするという噂があります。



このストライキに関連して、また私達GPには腑に落ちない話があります。

研修医達がストライキをして時に、コンサルタントが代わりに余分の仕事をしていたのですが、その時DHBがコンサルタントにオファーした時間給の額です。

公立病院に勤務するコンサルタント達はThe Association of Salaried Medical Specialists (ASMS) という彼らの労働組合みたいなものに入っています。

ASMSは、研修医をカバーするために余分に働かされるコンサルタントに、$340 から $568の時間給をDHBに要求するように勧めたということです。(実際オークランド病院では$500/時間オファーされていたらしい。)

 

GP達もは、公立病院の人手が足りない時に、「バイトで働いて」と病院から頼まれることがあるのですが、(少なくとも私のいる地域では)その時間給は.....

$120+GSTです。(この大きな差は何 ???!!!!)

 

本当にGPはトレーニングをして、GPスペシャリストになっても医学部新卒のような扱いしか受けないんですよね。(まあ世の中の人には、「GPはスペシャリストじゃないし」とか言われますしね。)

 

このストライキに関して、もう一つ私が思ったこと。

日本では『働き方改革』として、勤務時間を減らす動きがありますよね。

医療界にも、政府の指導により勤務時間の見直しの動きがあり、個人的には良いことだと思います。

 

それを受けて、厚生労働省は先日、医師の残業時間の上限を「年1900~2000時間」とする制度案を示しました。

年2000時間!!!

『年2000時間』と言ったら、月に167時間、週に38時間です。

朝9時から夕方5時までで、週に5日勤務だったら、普通にする仕事の時間だけで週に35時間ですよね。

週に38時間残業するということは、一人で二人分の仕事をするのと同じです。

自分が外科のレジデントだった時は、24時間オンコールで朝から晩まで働いていましたし、大学病院で働いていた時は朝の7時から夜の11時過ぎまで病院にいるということは、日常茶飯事でした。

(ただ大学病院の時は、教授がいつまでも病院にいるので、下っ端は教授より先には帰れない、という非常に日本的な理由で帰れないこともよくありましたが。)

だから年に2000時間が可能だということはよくわかります。

 

でもこれだったら何にも『見直し』じゃないんじゃないの??

理由としては、医者が足りない、研修医は仕事をすることが勉強だから、時間を制限することは勉強を制限することになる、とかいろいろあるようです。

でも、毎日早朝から深夜まで働いてヘトヘトの医者に、自分とか家族とかの手術をやって欲しいでしょうか。

ちなみに、アメリカではレジデントの週あたりの勤務時間は80時間までで、一度に24時間を超えないとなっています。

ニュージーランドでは最高で週72時間、1日に16時間まで。

これを超えて働かざるを得ない時は、雇用者が研修医にペナルティーのお金を払わないといけないことがMECAに謳われています。

多分どの国でも、医者、時に研修医/レジデントは非人間的な時間を仕事に費やしているんですよね。

 

それにしても、いろいろなことが発達し、進化し、便利になってきたこの世の中で、まだ人間は、こういう問題を解決できないのか、ということを興味深く思います。



 

なんか今回はとりとめもない記事になってしまいました。

医者の勤務時間、給料、医療の質などいろいろなことをよく考えているのですが、誰か(政府?)がもっといい方向に行くように努力してくれないかなと思います。

私は毎日の自分の医療の質をあげるよう、日々努力します。